「本気で私を慰めてくださるおつもりならば、これからすべきことは、おわかりのはずですね、アラゴルン。」
羞恥と怒りをないまぜにそのなかに留めたまま、アラゴルンの瞳が凍りついていく。夜明け前の北の空の色にも似た、凍てついた蒼灰の色彩は、いつだって、ファラミアにはこの世のなかで一番に美しい色に思えたものだった。そのなによりも気高い色をした瞳がゆっくりと伏せられ、長い睫毛の下に隠される様を――誰よりも貴く、大切に思っていたひとがその気概を砕かれ、この自分の前にくずおれる瞬間を、なぜか恋にも似た、狂おしいほどに甘い歓喜のなか、待ち受ける。
――それでもさすがに、昨日の今日、傷が塞がっていないであろう身を抱くわけにはいかないことに、遅まきながら気がついて、ファラミアは、己の服を脱ごうとした王を制し、自分の下衣に手をかけた。紐を緩めて足元に落とすと、意を汲んだアラゴルンはひざまずいて、既に固く張りつめているファラミア自身をその口に含んだ。