ドル・アムロスの海岸によく打ち上げられている、波の水沫でかたち造られたような、透き通るほどに真っ白な貝。その貝を思わせる見事な造作をした耳朶が目前にあって、静かに、ファラミアから熱を移されるのを待っている。 そっと舌先で舐め、つめたい耳のなかに熱い息を吹き込む。白い貝殻がほんのりと淡い血の色に赤らむのを確認してから、次いで、ひんやりと重い黒髪をかきあげる。その下の柔らかな皮膚を晒し、ありったけの熱情を込めて吸い上げた。 (Sanctus・SSより抜粋)